日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年8月19日人に信頼されるには言葉と行動を一致させよう!

昨年出版された、アメリカの起業家ベン・ホロウィッツの著書「WHO YOU ARE」を読みました。この本は、企業の文化をテーマに書かれたものです。



企業文化が優れている会社は、社員が生き生きと働いていて、お客様からも高い信頼を得ています。それは、その会社の気風や気質が人間の記憶に残り、そこから社員の目的意識が生まれるからだ、と著者は考えています。この本では、チンギス・ハンや日本の武士道、奴隷の身分からハイチを独立させた人物などを例に取り上げて、企業文化を形成する上で何が大切か、ということを解説しています。

実に様々なことが書かれている本ですが、その中で私が一番心に残ったことは、イントロダクション(序章)の表紙に書かれている「行動こそが君という人間だ」という言葉でした。
人間の価値観や考え方の特質などは結局の所、その行動に全て表れます。従って、会社の文化も経営理念や経営方針などの書かれたものから生まれるのではなく、社員の行動によって形成されるものだ、というのが著者の主張なのです。

考えて見ると、あらゆる成果は人間の行動からしか生まれませんから、その人間の行動が組織の文化に影響を与えるのは必然と言えるでしょう。例えば「お客様の利益を第一に考えましょう」というスローガンを掲げている会社があるとします。しかし、実態はお客様からのクレームに対して担当者が言い訳ばかりしていれば、お客様も社員自身もそのスローガン通りの会社だとは思わないでしょう。また「社員の幸せが一番大事だ」と常々言っている部長が、社員のミスを見て「お前なんか給料泥棒だ!」とどなったら、その部長が本当に社員の幸せを願っているとは誰も思わないでしょう。

この本のカバーには「君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる」と書かれています。言行を一致させることで会社のよい文化は築かれるということです。

言行を一致させることが大切だ、ということは個人同士のコミュニケーションにおいても全く同じことが言えます。日本話し方センターのベーシックコース2日間集中セミナーオンライン短期集中トレーニングコースは単に話の仕方をトレーニングするだけでなく、話した内容が人に受け入れられ、信頼されるようになることを視野に入れたカリキュラムになっています。その日本話し方センターが最も大切にしている言葉に「ことばの前に心あり、ことばの後に行動あり」というものがあります。上手な話し方を身につける目的は、よい人間関係をつくるためだと考えています。いくら話しの仕方だけが上手になっても、また口でどんなに良いことを言ってもそのように行動していなければ誰にも信用されず、よい人間関係にはつながりません。

このように言葉と行動が一致してはじめてよい人間関係が築けるのです。中でも日本話し方センターが特に重視している行動が「時間」と「約束」を守ることです。難しいことは人によってできること、できないことがありますが、時間と約束は守ろうと思えば誰にでも絶対に守れます。この二つをしっかりと守れれば人の信頼が得られ、よい人間関係が築けるのです。

しかし実際は「時間」と「約束」を守るだけでもなかなかできることではありません。特に私たちは特段の事情があったり、これは重要ではないなと判断した場合、つい自分の中で言い訳をしながらこの2つを簡単におろそかにしてしまいます。しかし、それは自分勝手な判断であり、相手はその事情を仕方ないとも重要性が低いとも思わないかも知れません。相手の立場に自分を置き換えて物事を考えるようにしないと「時間」や「約束」すら守れないのです。

人に信頼され、良い人間関係を築くためには言葉通りに行動することが何より大事なのです。そしてそうした行動が周りの人によい影響を与えていくのです。
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